【 国産BIツール比較 】
BIツールを使いやすさで選ぶなら、やっぱり日本製?主要4サービスを徹底比較
自社に最適なBIツールは?
BIツール徹底比較
無料トライアルもある3つの主要BIツールを比較しながら、自社に最適なBIツールはどれか、ツール検討時のポイントをご紹介しています。ぜひ、お役立てください!
BIツールってやっぱり国産がいいの?
もともとアメリカで生まれ、欧米を中心に発展してきたBI(Business Intelligence、ビジネスインテリジェンス)ツール。いつ誕生したのかには、いろいろな説がありますが、1958年にアメリカで初めて「ビジネスインテリジェンス」という言葉が使われたという説が有力です。昭和33年、東京タワーが完成して、1万円札が登場して、フラフープが大流行したような昔の話です。
日本では50年ほど遅れて、1990年代あたりに導入され、2015年が本格的なBI元年と言われています。ですから、BIツールと言えば海外で開発されて、海外に本社を持つサービスが多い、というのが現状です。
ただ、使い比べている人の中には、「やっぱり国産がいい」という声を多く聞きます。そこで、今回は「国産」BIツールのメリットや注意点をまとめて、実際に4つのサービスを比較してみました。
BIツールのメリット・デメリット
これまで、私もいろいろなBIツールを試してみましたが、日本製のBIツールのほうが使いやすいと思いました。それには、いくつか理由があるんでしょうが、特に日本と欧米のビジネス習慣の違いからくる差は大きいと思います。私が感じた国産BIツールのメリットを挙げてみます。
◎ メニューなどの日本語がわかりやすい
当たり前の話ですが、最初から日本語でつくっているのと、英語から翻訳するのでは、わかりやすさに差が出てきます。海外製と比べれば、国産BIツールはメニューや説明がわかりやすく、違和感がありません。
海外製サービスも日本向けにローカライズされて、メニューなどは日本語になっていますが、その翻訳がかえってわかりにくかったり、FAQの肝心な部分は英語サイトに飛んでしまったりして、辛い場合があります。
◎ 帳票類が使いやすい
「日本と欧米のビジネス習慣の違い」によって出てくる細部の差は、帳票類に出てきます。下の例のように、日本と欧米で大きく違います。
▼日本の帳票例
▼アメリカの帳票例
日本の帳票類はレイアウトが複雑で、罫線が多く、罫線の種類や太さが多様です。逆に欧米はタイプライター文化の影響と言われますが、レイアウトがシンプルで、罫線が少ない帳票が多いです。
上司や同僚、他部署からの要求を考えると、日本のビジネス現場に馴染むのは、日本型の帳票出力がしやすい国産BIツールだと言えます。
◎ 操作がわかりやすい
日本と欧米のビジネス習慣の違いは、ソフトウェアやウェブサイトのUIにも出ます。象徴的なのは、検索ポータルサイトのYahoo! JapanとGoogleの違いでしょう。とても同じ目的でつくられたものとは思えません。
ちなみにアメリカ版のYahoo!も日本よりシンプルです。トップの位置にリターゲティング広告(リマーケティング広告。以前アクセスしたサイトの広告が表示される)が大きく表示されて驚きますが、全体の構成はシンプルです。
引用:Yahoo
上の帳票とも通じる話ですが、日本では多くの情報を一画面に詰め込み、一覧できるレイアウトが多く見られます。逆に欧米は一番重要な部分に絞り、それ以外は階層を変える設計が多い印象です。
こう書くと、Googleが使いやすくて、Yahoo! Japanが使いにくいように聞こえます。実際、これを読んでくださっているようなITリテラシーの高い方の間では、「Googleのほうが使いやすい」という意見が多そうです。
しかし、あまりITリテラシーの高くない人の間では、「Yahoo!のほうが使いやすい」という声が多いんです。それはなぜか? 検索にYahoo!を使う知り合いに聞くと、「Googleはどこを見たらいいのかわからない」、「楽しくない」、「いろんなボタンを押して探さないと、行きたいページにたどり着かない」といった声が返ってきました。たしかに私も「あのサービスどこだっけ?」とGoogleのサービスをGoogleで検索していて、「何してんだろ」と思うことがあります。
一覧性がなく、求めるメニューを探すために能動的に階層深く潜っていくのは、ITリテラシーが低い人には、とっつきにくく感じられるようです。ですので、「日本で多くの人に使いやすいのは」と考えると、BIツールも日本式のUIである国産の方がよさそうですね。
◎ カスタマイズしやすい
日本と欧米のビジネス習慣の違いで、ソフトウェアにとって大きいのは、「日本は自社用にカスタマイズすることが多い」ということです。個別最適と呼ばれ、ソフトウェアやサービスを自社のビジネスに合わせるべくカスタマイズしてから使う習慣です。
逆に欧米では、全体最適と呼ばれる、ソフトウェアやサービスに合わせるために自社のビジネスを変えてしまうという方向です。実際には、あまり変えなくてもいいソフトウェアを選ぶということになるのでしょうが、日本から見ると、異質なやり方とも言えるでしょう。
ですからBIツールでも、日本ではカスタマイズが求められることが多いのです。「いやここは全体最適で」と言ってカスタマイズしなければ、使われなくなる可能性が高まります。そういう意味では、カスタマイズする文化から生まれた国産のほうが日本のビジネス現場にはフィットすると言えそうです。
と、このように、日本と欧米のビジネス習慣の違いから、国産と海外産では細部にまで違いが出てきます。日本と欧米、どちらのビジネス習慣が正しいかということではありません。実際に違いがあるので、いろいろなITリテラシーの人が使うBIツールの場合、やはり日本で開発・設計された国産のほうが受け入れられやすいでしょう。
次は、上記の内容をふまえて、4つの主な「国産BIツール」を比較してみました。
国産BIツール、主要4製品を比較
BIツールの本格的な普及を前に、国産ツールも増えてきました。ここでは、なかでも実績と歴史のある4つのツールをご紹介します。
1)MotionBoard(モーションボード)
専門性を必要とするデータベースの階層設計やキューブ設計が不要で、現在のExcelのデータをそのままBIツールで分析できます。オンプレミスとクラウドデータ両方に対応が可能なうえ、IoT(Internet of Things)のセンサー情報にも対応していて、スマートフォンにある各種センサーのデータを送信するスマートフォンアプリまであります。この商品はソフトウェア型ですが、別製品でクラウドタイプ(MotionBoard Cloud)もあり、両者の連携が可能です。コストはユーサーバーライセンスを選べば、利用者の増加による追加コストがかかりません(ユーザーライセンスも選択可能です)。
提供企業
ウイングアーク1st株式会社
本社所在地
日本(東京都渋谷区)
製品形態
ソフトウェア(オンプレミス)
わかりやすさ
ガイド/テンプレート機能なし
サポートの手厚さ
東京・大阪・愛知など各地で定期的にハンズオンセミナーなどのセミナーあり 有料で定期・オンデマンド・オンサイトの3種類のトレーニングあり
導入のしやすさ
販売・インテグレーションパートナーあり
トライアルの有無
デモサイトで一部体験可能。デモムービーあり
2)DragonFly BI(ドラゴンフライ)
Excelデータ、社内システム、外部データベース、クラウドデータと、オンプレミスとクラウド両方のさまざまなデータに対応可能です。クラウド型なのでサーバーの準備とコストが不要で、手軽に始められます。操作も「Excel感覚」で、ドラッグ&ドロップで簡単にグラフ化できます。「スプレッドシート」機能があり、Excelで普段利用する機能のほとんどをDragonFly BIでも使用できます。ドリルダウン、クロスフィルタリングなどもシンプルな操作で実行可能です。
提供企業
グレープシティ株式会社
本社所在地
日本(宮城県仙台市)
製品形態
クラウド
わかりやすさ
ガイド/テンプレート機能なし
サポートの手厚さ
ハンズオンセミナーあり(埼玉県川口市)
オンライン・チュートリアルあり
導入のしやすさ
代理店等なし・メーカー直接販売
トライアルの有無
無料評価版を14日間試用可能
3)LaKeel BI(ラキール)
棚卸資産回転率、流動比率など46指標がチェックできる「標準経営分析ダッシュボード」、営業CFマージン率など12指標の「キャッシュフロー分析ダッシュボード」、人事分析の「総人件費連動性分析」など、さまざまなタイプのテンプレートが用意されているので、データをセットした瞬間から分析を開始することができます。Excelライクに使えて、ドラッグ&ドロップでダッシュボードやアドホックレポート(非定型帳票)の作成が可能。Webブラウザや社内ポータル、モバイルでも閲覧でき、ExcelやPDF出力もできます。帳票デザインツールなら、オリジナルの帳票をピクセル単位でデザイン可能です。
提供企業
株式会社レジェンド・アプリケーションズ
本社所在地
日本(東京都港区)
製品形態
ソフトウェア(オンプレミス)
わかりやすさ
経営分析テンプレート、人事分析テンプレートなど、数十種類のテンプレートあり
サポートの手厚さ
購入前の無料体験セミナー、購入後の無料ハンズオントレーニングあり
場所はいずれも東京
導入のしやすさ
代理店等なし・メーカー直接販売
トライアルの有無
トライアルなし
購入検討時、自社のデータからサンプル帳票を作成してもらえる無料サービスあり
4)Actionista!(アクショニスタ)
企業内での活用が想定される一般的な集計方法をプリセットしているため、プログラミングいらずで、分析軸や値をドラッグ&ドロップするだけで集計表を作成できます。分析シナリオも用意され、必要な項目を選択するだけで高度な分析結果を取得でき、Excelや一般的なBIツールでは作成が難しいABC分析やZチャートまで簡単に作成可能です。オンプレミスとクラウド両方のビッグデータに対応し、「大量データを高速処理」というエンタープライズBIの要素も備えています。さらに、集計結果の値を変更して関連する値の変動を見るシミュレーション機能や、集計結果がある条件に達した場合にアラートメールを送信できる機能も搭載しています。
提供企業
株式会社ジャストシステム
本社所在地
日本(東京都新宿区)
製品形態
ソフトウェア(オンプレミス)
わかりやすさ
ガイド/テンプレート機能あり
店舗別売上分析、仕入分析、管理会計分析、製造原価分析、在庫分析、売上/粗利分析等のテンプレートあり
サポートの手厚さ
東京・大阪で定期的にハンズオンセミナーあり
導入のしやすさ
代理店等なし・メーカー直接販売
トライアルの有無
トライアルなし
体験動画、導入編・活用編マンガあり
国産BIツールを選ぶうえで大切なこと
ここまで、国産BIツールについて見てきましたが、実際にBIツールを選ぶ際に大切なのは、目的や必要な機能、自社の体制に合っているかということです。どんな場合でも国産がいいというわけではありません。
最後に、BIツールを選ぶ際のポイントを上げておきます。
- 部署やITリテラシーを含め、誰が分析・閲覧するのか?
- どのような目的で活用・分析するのか?
- データの量や対応OSなどの環境的な要件は?
- サーバーの準備と運用が可能か? 社内ルール上でクラウド使用が可能か?
- 情報システム部門などの運用サポートが得られるか?
これらのポイントを参考に、各ツールベンダーにヒアリングも行いながら、自社に合ったBIツールを選定しましょう。その際、現場だけでなく、情報システム部門も巻き込んで、事前調整しながらツール選定することをお勧めします。最適なBIツールを選定するための成功の鍵になります。
最後までありがとうございました。なお、「BIツールでできること」や「他のBIツールも含めた比較」などは、こちらの記事も参考にしてください。
BIツール完全攻略ガイド
データの収集、蓄積、分析を迅速に行い、意思決定をサポートするために開発されたBIツール。
本資料ではそんな「BIツール」を完全に理解するための手引き書として、具体的な機能や利用シーン、活用事例などを1冊にまとめました。ぜひご活用ください。