【 BI効果で勝つ 】
BIツール導入で効果を上げ続けるための4つの戦略
BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールの導入を社内やチームで提案すると、「それってExcelでもできるんじゃないの?」と言われることがたまにあります。確かにExcelは便利なソフトウェアですが、けっして万能ではありません。
今回は、より効率的なデータ分析のために、ExcelとBIツールの違いについてまとめてみました。しかも検証動画つき。これを見れば、それぞれの役割や使い分け方がパッとわかります。
※2019年1月15日追記
本記事における比較対象である「Excel」の定義には「Office 365 ProPlus」は含まれておりません。
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BIツール活用できていますか?
「BIツール、導入したものの、結局使いこなせなかった」、「BIツールは担当者が異動してしまってから使っていない」などといった話をよく聞きます。
BIツールは、基幹系システムのように、「生産管理」や「販売管理」といった用途がはっきり決まっているものではありません。そしてExcelのように、表計算やグラフ作成だけでなく、それこそメモからワープロ代わりにと何にでも使えるというものでもありません。
そのため、なんとなく導入したものの、限られた人しか使わない、といった状況ですと、フェードアウトしてしまいがちなのも確かです。
そこで今回は、「せっかく導入したBIツールを継続的に活用するコツ」をご紹介したいと思います。BIツールを使い続けるための動機付けをどうやって用意してそれを持ち続けるのか、がポイントです。
そこを考えるためにも、まずは「そもそもBIツールとは」の確認から。
BIツールのメリット・デメリット
そもそもBIツールとは、「Business Inteligence(ビジネス・インテリジェンス)」ツールの略。企業の各部署がそれぞれに蓄積している膨大なデータや、官公庁の統計データ、外部のデータベース、Webサイトのデータなどを、収集・蓄積・分析・ビジュアル化し、経営戦略立案のための意志決定を支援するシステムやアプリケーションのことを指しています。
現在は様々なタイプのツールが登場し、素材となる「データ」と「人間が考えて判断する」までのプロセスを自動的に行ってくれます。
引用:BIツールとは ~あなたの導入したBIツールは「インテリジェンス」を生み出せていますか?~|データ分析用語を解説(2015.04.07)
ここ数年、日本でもBIツールがブームとなりつつあります。「データドリブン」、「エビデンス・ベースド・マネジメント」など、データによる科学的根拠に基づいた経営判断が求められるようになり、そのために最適なのがBIツールだからです。「ビッグデータ」と呼ばれる膨大なデータを分析する必要があり、Excelなどの既存のツールでは扱えない規模になっていることも、BIツールの必要性を高めています。
そんなBIツールのメリット・デメリットを整理すると……。
BIツールのメリット
- 大量のビッグデータを扱うことができる。
- 直感的にデータを分析・加工できるツールが多い。
- プログラミングをせずに、現場のスタッフでも使える。
- 視覚的に見やすく理解しやすいグラフィカルなレポートを簡単に作成できる。
- 一度設定すれば、データが訂正・追加されても、リアルタイムで把握できる。
- 役職、部署、関連会社などの違いによって、複雑なアクセス権限の設定ができる。
- ERP(基幹業務システム)やSFA(営業支援システム)、CRM(顧客管理システム)などと連携してデータを活用・分析できる。
- オンプレミス(ソフトウェア型)とクラウド(オンライン型)、日本製と海外製など、様々なタイプのツールから比較検討して導入できる。
BIツールのデメリット
- 導入時のzツール設定やデータベース作成が難しい。
- ビッグデータをしっかり扱うとなると、それなりのコストがかかる。
- 秘匿性の高いデータを扱うため、強固なセキュリティが必要。
- 導入目的が漠然としていると、使われなくなることが多い。
と、BIツールについてザッと駆け足で説明しましたが、もっと詳しく知りたいという方のために、オススメの記事をピックアップしておきます。ぜひご覧ください。
▼BIツールとは何か?何ができるのか?などはこちらの記事を
【永久保存版】BIツール入門!6製品を徹底比較!導入に失敗しない3つのポイントとは?
▼BIツールの具体的な活用術や分析事例はこちらの記事を
【 リアル分析事例 】BIツールの使い方教えます。予実分析、ABC分析、在庫分析を具体的事例で解説。
いよいよ次は、具体的な「BIツールで効果を出し続けるコツ」をご紹介します。
BIツールで継続的に効果を出し続けるコツ
せっかく導入したBIツールが使われなくなってしまうのは、結局のところ、「なくても困らない」からです。そこが特定業務を進めるためには「ないと困る」基幹系システムとの違いです。BIツールは今のところ、多くの企業で当たり前に使われるツールにまではなっていません。
そのため、BIツールを使うメリットを最大化して、その効果を多くの人にアピールしていく必要があります。
コツ①:社内のミカタを増やす
業務に詳しい現場と、データやシステムに詳しい情報システム部門の連絡が悪ければ、BIツールを使いこなすのは難しいと思います。できれば経営層も含めて、三者で密にコミュニケーションを取りながら進めていくと、BIツールの活用度が上がります。
「あなたが情報システム部門の場合」:現場をミカタにつけましょう。
なぜなら
- →現場が希望する要件や要望を整理してくれます。
- →現場での活用の推進や啓蒙に協力してくれます。
- →現場での効果や課題点をフィードバックしてくれます。
「あなたが現場の場合」:情報システム部門をミカタにつけましょう。
なぜなら
- →必要なデータがどこにあるのかを教えてくれます。
- →設定や、カスタマイズが必要なときに相談に乗ってくれます。
- →トラブルがあったときに解決に向けて協力してくれます。
コツ②:効果を数値化する
BIツールは顧客の動向、商品の動きなどを数値化し、経営判断に役立てるためのツールです。ですからBIツール自体の価値を判断するにも、データの裏付けが効果的です。
BIツールで意思決定スピードが上がり、機会損失を防いだり、売上げアップすることが考えられます。そのうちBIツールの貢献がどのくらいかを数値化するのは難しいですが、できるとより効果を実感できます。
そして、より数値化しやすい効率化については、積極的に効果をアウトプットしましょう。
たとえば、データ処理の工数を削減できたという事実があれば、
導入前、3人月かかっていた「予実分析」
- 導入後、1人月に効率化
= <BIツール導入効果> 人月100万円の場合、年間2,400万円削減
とアピールできます。
人件費だけでなく、
- 外注費用の削減
- クラウド化によるサーバー費用の減少
など、多方面で考えられます。
そのほか、社内でアンケートをとるなどの数値化方法もあります。
- 効率的に仕事が進められるようになった
- 営業上の問題が発見しやすくなった
- 顧客の動きをつかみやすくなった
というような項目の割合が高ければ、BIツールの価値が高まります。
コツ③:効果を経営層・他部署と共有する
効果を数値化できれば、それをレポートにし、その内容を他部署とも共有することで、啓蒙や推進につなげられます。
現場であれば情報システム部門や経営層、情報システム部門であれば現場や経営層に対して、効果レポートを共有します。
コツ④:定期的にダッシュボードやレポートを見直す
導入時にはみなさん、BIツールの導入目的や用途について、しっかり検討していると思います。ただ、ビジネス環境の変化が速い現在、経営判断に必要なデータも同様にスピーディーに変化していきます。継続的に効果を上げるためには、定期的な見直しをお勧めします。
-目的を再整理
導入時にはどうしても「BIツールでできること」を優先しがちですが、見直し時には経営判断のプロセスに沿って、BIツールをどう使うか、再整理していきます
。経営判断のプロセス
- チャンスやトラブルの兆候を発見する。
- その原因を割り出す。
- 起こりうる確率を算出する。
- 対策の選択肢を挙げる。
- アクションを起こした場合の未来を予測する。
- 判断の根拠を得る。
この中から現在必要度の高い項目を優先して、BIツール活用を考えていきます。
-ダッシュボードやレポートを再構築
続いて、ダッシュボードやレポートといったアウトプットを見直し、再設計していきます。BIツールはデータ加工が容易なので、様々なデータを加工することに走ってしまいがちですが、データを“いじる”ことが目的なのではなく、経営判断に役立てることが目的なので、アウトプットを優先し、必要な人間に必要なデータが伝わるよう設計します。
BIツールのバージョンアップで便利な機能が増えていることがありますので、それも確認することをお勧めします。私が聞いた例では、導入したBIツールがバージョンアップされた際に、以前はなかったアラート機能が追加されたため、キャンペーン商品のCV率が一定以上になった場合にアラート・メールが送られるよう設定できるようになり、確認作業が不要になったという会社がありました。
まとめ:重要なのはコミュニケーション
BI(ビジネス・インテリジェンス)、データドリブンなどと聞くと、無機質な印象がありますが、データを効率良く集めたり、活用したりするためには、人間的な繋がりが大きなチカラになる、ということが言えます。
最も重要なのは、協力してもらえる社内パートナー体制を構築することです。担当外の同僚や、現場、情報システム部門、経営層と、多方面の社内パートナーを巻き込んで、BIツールでより良く効率的な経営判断ができる体制をつくりあげてください。
最後までありがとうございました。なお、BIツールで効果を出し続けている企業の「導入事例」なども用意していますので、ぜひご覧ください。
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