情報モラル教育を急げ!
第2回 インターネット安全教室
経済産業省・NPO日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)主催
インターネットを安全に
快適に楽しく利用する方法
2004年度の『インターネット安全教室』にて配られたCD-ROM付きパンフレットとグッズ(携帯クリーナー)。
「2003年度版には入っていませんでしたが、2004年度版のパンフレットにはフィッシング詐欺についての解説も入っています」と林さん。
『インターネット安全教室』の対象者は、インターネットなどのネットワーク利用者。Webサイトを閲覧したり、Eメールを送受信したりしていればそれだけで資格を有する。構成は約2時間。ビデオ上映と冊子解説、警察による事例紹介などで、「どうすればインターネットを安全に、快適に、そして楽しく利用できるか」を、体験学習も交え解説する。
「一般のユーザーに、セキュリティについてどう伝え、広めていけばいいのか散々悩みました。パンフレットを作ればそれでいいのか、ニュース番組で特集を組んでもらえば興味を持ってもらえるのか、それとも、科学番組を作った方が効果的なのか……と。トレンディドラマを作れば広まるかな、なんて考えたこともありました(笑)」
予算と相談の上、資料を作成し、講師を養成し、各地で地道に安全教室を展開し、啓発活動をする。下村さんは、これが現状での正解でしょう、と言う。
JNSAのまいた種が全国各地で花開く
2004年、『インターネット安全教室』は10月〜3月まで、25カ所での開催となった。2003年の倍以上の数だ。
「もちろん、こちらから講師を派遣している開催地もありますが、2003年に開催し、今年は自分達で運営可能と判断なさった共催者の方々には、資料のみ提供して、講師他は一切お任せする、という方法をとっているんです」
協会事務局の林さんは笑顔でそう語る。下村さんがその言葉を継ぐ。
「ずっとJNSAが引っ張っていたのではダメなんですね。地場の運動に変えていかなければ、全国的なウェーブにはならない。そうして社会的な運動にならなければ、ネットワークセキュリティも浸透していかない」
この教室は、2005年、2006年、またその翌年、と続けていきたいと下村さん。
「2004年で都道府県の半分を制覇しました。2005年は全国制覇の予定です。でも、もっとビッグバンさせたい。全国市町村で一斉開催!とか、マスコミが取り上げやすい形に持っていきたいですね」
子どもたちが先行する
その危険性
「今は、モラルを持たない子どもの技術だけが上昇して、本来モラルを持っていなければならないはずの親が、知識も技術も子どもに追い付いていない家庭が多い。そのことに子どもが気付いてしまうと、子どもは親から離れて自ら聖域に逃げ込んでしまう。それはとても危険なことですよね」
下村さんは、子どもと親の意識や技術の差について不安を隠さない。
「今の子どもたちは学校でパソコンやネットワークの技術、また情報モラルについても学んでいるでしょう。それに対して、親御さんより上の世代は学校での学びの場がなかった。しかし、この『インターネット安全教室』のように、学びの場は用意されています。分からないからと逃げていては何も始まらないんです。今からでも決して遅くない。情報モラルも含め、ネットワークセキュリティについてぜひとも知っていただきたい。理解していただきたいと思います」