メディアとのつきあい方講座

情報モラル教育を急げ!

第2回 インターネット安全教室
経済産業省・NPO日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)主催

前回は、学校と家庭とを結ぶ情報モラル教育についてご紹介した。とは言え、情報モラルについて無関心な人々を振り向かせることは非常に難しい。そこで今回は、経済産業省とNPO法人が音頭をとり、全国各地の自治体や学校の協力を得、メディアや地域を巻き込むことで多くの人々を振り向かせることに成功している『インターネット安全教室』についてお伝えしよう。

「セキュリティの日」として認識される日まで

下村さんと林さん

マスコミをうまく使うことが、セキュリティの知識を広める1番の近道と下村さん。その実は、ネットワークやセキュリティに関する製品やサービスを多数リリースしている株式会社ディアイティの代表取締役社長だ。

「『防災の日』のように、『セキュリティの日』として認識されるようになるまで頑張りたいですね」

経済産業省とともに『インターネット安全教室』を先導するNPO、日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の事務局長である下村さんはそう語る。掲げる目標は大きい。

『インターネット安全教室』は、2003年の10〜11月に初めて催された。開催場所は全国11カ所。奈良、福井、岡山、徳島、神奈川、福岡、沖縄、大分、大阪、北海道、新潟(開催順)にて行われ、各会場100〜200人の参加者を集めた。中でも沖縄は事前告知が行き届いていたこともあり、参加者約700人という驚くべき数字を叩き出している。

「セキュリティとは何か」
理解を広める活動

JNSAは、インターネットやセキュリティに関するサービス・製品を扱う企業が集い、安全なネットワーク社会の重要性を世に広く知らしめるため、2000年4月に発足した。

2001年にはNPOとして認可されている。ネットワークセキュリティに関する啓発や教育、調査研究などが主な活動内容だ。
「インターネットを通じ、ネットワークを利用している人々に、『セキュリティとは何か』ということを理解していただきたい。と同時に、我々のスキルの向上も目指しています」

セキュリティは複合技術であり、アンチウイルスやファイヤーウォールだけでは解決しない、と下村さん。
「必要なのは、『知識』『コンセンサス』『制度』『技術』『モラル』です。パソコンもネットワークも急速に普及して、それらがすべて追い付かない状態にある。そんな状態を打破するために我々は活動しているのです」

「知りたい」という需要をすくい上げる

下村正洋(しもむら・まさひろ)さん NPO 日本ネットワークセキュリティ協会 事務局長

下村 正洋さん

NPO 日本ネットワークセキュリティ協会 事務局長

林佳子(はやし・よしこ)さん NPO 日本ネットワークセキュリティ協会 事務局員

林 佳子さん

NPO 日本ネットワークセキュリティ協会 事務局員

「私たちは『供給ありき』でこの教室を開催しているのではありません。あくまでも『需要ありき』で共催者を募り、開催地を決め、資料作成や講師の派遣を行っています。共催者は人を集められる自信があるから応募するのです」
共催者は役所や自治体、学校などさまざま。しかも、会場の手配や告知は共催者側が一手に担っているという。
「パソコン教室やメーリングリスト、それから市や県の広報・ポスター、ケーブルテレビなど、告知方法はさまざまのようです。シニアのパソコン教室は特に熱心なようですね」

インターネットのセキュリティやモラルについて「知りたい」と思っている人は意外と多い。しかし「どこでどんな風に教えてもらえるのか」ということを知っている人は少ない。その「知りたい」という需要をすくい上げるのがこの『インターネット安全教室』の役目だと下村さんは語ってくれた。