情報モラル教育を急げ!
第1回 インターネット親子セーフティ講座
開催:東京都教育庁
不安とよろこびと
受け取ったチェーンメールのサンプルを転送しあう体験では、ものすごい勢いで増殖していく受信メールの数に顔を見合わせる親子も。
続いて、掲示板への参加体験として、この講座のために用意された掲示板に今日の感想を書いてほしいと求められた参加者は、
「今まで知らなかったことを知ることができて、よかったです」
「インターネットは便利だけど、使い方を間違えると大変なことになるということがよく分かりました」
「ウイルスを実行できたりするなど、貴重な体験ができてよかったです。何事も『体験してみること』が重要だと改めて感じました」
など、子どもたちも保護者も、多くの体験を噛み締めつつ、充実した時間を過ごすことができた様子。
また、この講座で初めてチャットを経験した保護者の1人は、「楽しいけれど怖いですね」と感想を漏らした。相手が見えない分、どうしたら上手くコミュニケーションが図れるかを考えるきっかけとなったようだ。
危険があることを承知した上で、いかにして道具を使いこなすか。「パソコンもハサミと同じね」という保護者の言葉が印象的だった。
変化を前提にした取り組みを
「楽しかったですね。授業で仮想体験や情報モラルの指導はしておりますが、こういった企画自体が初めてですし、ウイルスもチェーンメールもチャットも掲示板も全部一度に、それも小学生とその親御さんに教えるというのは、かなり新鮮な体験でした」
講座を終えた小原先生は、笑顔でそう切り出した。
「でも、パソコン1台1台の設定は大変でした。普段生徒たちにはWebメールを使わせているのですが、今回は『現実感』と『ウイルスメール体験』のためにメールソフトを使ってそれぞれにメールのやりとりができるよう設定したので、パソコンに詳しいプロのコーディネーターの方などに手伝っていただければ……と思いました」
今回のような講座を、今後も続けていきたいと思われますか?という問いには、即座に肯定の小原先生。
「本当は、こういった講座に来てくださる親御さんは安心なんです。充分に意識の高い方々ですから。問題なのは、興味を持ってくださらない、もしくは自分はパソコンなんて分からないからと逃げてしまいがちな親御さんに、どう伝え、広めていくか、ですね」
そして、子どもたちの現状や、情報科についても話が及んだ。
「今はちょうど、小中高それぞれでの取り組みが始まったばかりで、実は小学校と高校で同じような内容を教えている、と気づく部分もあります」
小中高と、各々の場面に効果的な情報教育を系統性を持って行うと共に、教員自身も常にレベルアップが必要、と小原先生。年々刻々と変わる子どもたちの経験値と、ネットそのものの変容の両方を見据えた取り組みが必要だと語ってくれた。
「制度や仕組みができあがるのを待つのではなく、とにかく取り組みを重ねていくことが重要ですね」