情報モラル教育を急げ!
第1回 インターネット親子セーフティ講座
開催:東京都教育庁
情報モラル教育には、学校現場の努力だけでなく、家庭の理解と協力が不可欠。しかし、そのための取り組みはいまだ緒についたばかりだ。そんな中、夏休みを前にして発生した不幸な事件などを契機に、体制整備を待っているわけにはいかない、と多くの取り組みが実施された。ここでは東京都教育庁が開催した『インターネット親子セーフティ講座』の模様をお伝えすることにしよう。
待ったなしの情報モラル教育
町田高校情報科教諭の小原格先生。この講座のような取り組みを進めていくことの意義についても語ってくれた。
チェーンメールや架空請求メール、ウイルス感染、掲示板やチャットでのトラブルなど、インターネットに関連する事件報道は日々途切れることがない。今、子どもたちは、さまざまなメディアに囲まれ、そしてその荒波にもまれている。果たして保護者はその荒波から我が子を守ることができるのだろうか。そして、子どもが自ら荒波を乗り越える力を身に付けるためには、どんな学びの場を設ければよいのだろうか。
7月初旬、東京都教育庁は、都立高校のITを活用した教育推進校2校及びIT教育普及支援校8校が連携し、都立高校の教員による『インターネット親子セーフティ講座』を実施すると発表した。これは、インターネットや電子メールを使う際に気を付けなければならないことを、実際にコンピュータを使いながら親子で楽しく学ぼう、という試みだ。
対象は、インターネットや電子メールを使っている小学生とその保護者。そして指導するのは、ITを活用した教育推進校及びIT教育普及支援校の教科「情報」の教員。7月23日の都立府中西高校を皮切りに、8月27日の都立町田高校まで、夏休み期間中に都内10校で開催されたこの講座。我々は、最終日の都立町田高校へ取材に伺った。
体験を出発点に
一連の講座の最終回にあたるこの日の参加者は、親子4組を含む10名余り。町田高校パソコン部のメンバーも加わってプログラムが進められた。講座で使用した教材は、都内のIT推進校の担当の先生方が集まり、検討の上、作られたもの。
都立町田高校、パソコン室。ずらりと並ぶパソコンを前に、少し緊張した面持ちの小学生とその保護者。そしてサポートする町田高校パソコン部の生徒たち。『インターネット親子セーフティ講座』は、情報科教諭の小原先生のリードで始まった。
まずはセーフティチェックから。チェーンメール、架空請求メールなどを提示し、実際にそのようなメールを受け取った場合に「あなたならどうしますか?」とクイズ形式で出題。クイズの正解とともに、保護者への対処の仕方もフォロー。また、「おトク」「無料」といった甘い言葉を並べたサイトのリンクが、実は危険なサイトへの入口であるなど、インターネット上は必ずしも安全な場所ばかりではないことを理解することが大切だと小原先生。
ブラウザでの閲覧だけでも危険にさらされるサイトのサンプルなど、インターネット利用の上で必要な注意を、身をもって体験する参加者たち。
続いてはチャット体験。参加者全員が小6男子になりきってのチャットだ。文字だけではお互いの意図が伝わりにくいこと、そして「なりきり」は簡単には見破れないことを実感した参加者たち。
さらに、実際にウイルスとはどんなものなのかを体験したり、チェーンメールがあっという間に広まっていくさまを互いにメールを転送し合って確かめたりするなど、参加者たちはインターネットに潜む危険を、体験を通じて認識し、上手に付き合っていく術を学んでいった。