メディアとのつきあい方学習への招待
第3回 メディつき学習を「深める」ために
佐藤正寿先生(岩手県奥州市立水沢小学校教諭)
×松橋尚子先生(東京都世田谷区立砧小学校主幹)
『メディアとのつきあい方学習[実践編]』が刊行され、さらに2月末に開催された「第3回メディアとのつきあい方学習セミナー」も大盛況。メディつき学習の実践は、ますます注目されている。今回も、実践編の執筆に当たられた先生方お2人をお招きし、「メディつき」を深めるためのポイントを伺った。
「はじめる」と
「深める」の違い
──メディつきの初歩的な実践と、それをさらに深めるための実践は、どこがどう違うのでしょうか。
佐藤「メディつき実践編では、第2章が『はじめよう』、第3章が『深めよう』とカテゴリ分けされています。が、それぞれの実践に明確な差があるというより、それぞれの実践が目指すゴール、目標が違うのだと考えると分かりやすいと思います。単なる気づきで終わるのではなく、理解を下敷きに体系的な分析が可能となったり、自らの変容を自覚できたりすることが、『深める』ということにつながるのだと思います」
──「目標の差」ですか?
松橋「実践のねらいが浅い位置にあるか深い位置にあるか、ということだと思うんです。ですから、実践の内容としては第2章に掲載されているような初歩的なものでも、ねらいを深い位置に持って行くことで、第3章的な実践へと高めることができます。でも、実はこれって、教師の側のメディつき度を試されることでもあるんですよね(笑)」
佐藤 「そうなりますね(笑)。いかに応用できるか、なんです。私たちが普段、どれだけメディアに対して敏感に暮らしているかも大切ですね。子どもたちが接しているメディアを知識や体験として教師自 身が持っていなければ、どんなに深めようとしても表面的な実践になってしまいます」
問われる
教師のメディつき度
──具体的に、メディつき度を問われる場面というのは?
佐藤「例えば、実践編で私は『“編集”って何?』という実践事例を担当したのですが、その中で「メディアのプロから学ぶ」という活動があります。これは、テレビや新聞、雑誌などの編集作業にじかに携わっているプロの方をお呼びして、外部講師として実践に加わっていただくというものですが、もちろん、プロの方を呼ばなくても実践としては成り立ちます。しかし、通常の学習ではかかわることのできないプロの話を聞くことで、実践が格段に深まるんですね。そうした外部人材を学習の中に巻き込むことができるか、私たち教師が学校外に対して視野を広く持っているか、人脈を持っているか、ということは、まさにメディつき度を問われる場面ですよね」
──授業に適した人材を探すということは、かなり大変なことなのではないでしょうか。
松橋「意外とそうでもないんですよ。身近な存在として、まずは子どもたちの保護者が上げられます。さまざまな職業に就いていらっしゃる保護者の方々は、まさにそれぞれがプロフェッショナル。授業に生かさない手はありません。それから、地域の方々との連携を深めることも、メディつき度を高めることにつながりますね。もちろんこれは、メディつき度だけでなく、いろいろな点でメリットがあります」
佐藤 「地域の目が学校に向くことで、危機管理にもつながりますね」