メディアとのつきあい方学習への招待
第2回 メディつき学習を「はじめる」ために
宮脇康一先生(東京都墨田区立第四吾嬬小学校教諭)
×影山知美先生(岡山県津山市立西小学校教諭)
繰り返すことの
重要性
──それでは、お2人が担当された実践事例の1つについてお話を伺いたいと思います。影山先生は日常的な学習を担当されていますね。
影山「はい。年に何度か単元を組んで、たっぷり時間をかけて行うメディつき学習ももちろん大切ですが、毎日少しずつ、繰り返し行うことによって、メディアとつきあう力が体の中へ浸透していくのではないかと考えています。ですから、朝の会や帰りの会など、ちょっとした時間でできる実践を、と思い、できる限り簡単に始められるような事例を用意しました(このページ下に概要を掲載)」
──この実践を成功させるポイントは何でしょうか。
影山 「先生方が情報に敏感であること、ですね。普段から多くの情報に触れ、子どもたちの間ではやっていることや話題になっている番組、漫画などについて知っておく必要があります」
──とは言え、毎日となるとネタ集めだけでも大変ではないかと思うのですが。
影山「そこは考えようです。1日1つ、子どもたちにどんな視点を持たせたいかだけ決めておくんですね。その視点を毎日変える。そうすると、同じ1つの題材でも1週間はラクに使えます(笑)」
気軽に踏み出せる
はじめの一歩
──宮脇先生は、「メディつき[実践編]」最多となる6つの実践事例を担当なさっていて、しかも、そのすべてが国語科の実践とのことですが。
宮脇「ええ。すべて言葉に関した実践です。例えば、「『先生トイレ』はどうして通じるの?(このページ下に概要を掲載)」ですが、授業中にそういって手を挙げた子どもがいたとします。その「先生トイレ」を、「先生(は)トイレ(です)」と解釈すると、当然通じない。けれど、子どもは無意識に省略し、まわりの子どももそれを理解しているんです」
──省略されている言葉を探す実践なんですね。
宮脇「『先生トイレ』に隠されている言葉を探すことにより、普段、子どもたちが何気なく発している言葉の中で、いかに省略を使っているか気づいてくれます。とは言っても、この実践はそうして日常の言葉を再認識し、省略されている言葉に気づくという、いわば「それだけ」の学習(笑)なので、まさに気軽にトライしていただきたいですね」
影山「『メディつき[実践編]』には、そんな風に簡単に始められる実践がいっぱい詰まっています。これからメディつきを始める先生方も、[実践編]を参考にして、気軽にはじめの一歩を踏み出していただきたいですね」
取材/西尾真澄 撮影/西尾琢郎