メディアとのつきあい方講座

メディアとのつきあい方学習への招待

第2回 メディつき学習を「はじめる」ために
宮脇康一先生(東京都墨田区立第四吾嬬小学校教諭)
×影山知美先生(岡山県津山市立西小学校教諭)

3月に発売となった『メディアとのつきあい方学習[実践編]』。30もの実践事例を紹介しつつも、使用する機材や活動の流れなどが明快に提示され、実践編という名にふさわしい仕上がりとなっている。今回は、そうした実践事例の執筆に当たられた先生方の中からお2人、宮脇先生と影山先生をお呼びして、「メディつき」の初歩について伺った。

メディつき学習を
「はじめる」ために宮脇康一先生

──「メディつきをもっと簡単に始められる教材はないのか」という要望を受けてこの実践編が作られたとのことですが、これからメディつきに取り組む先生方に、何かアドバイスなどありましたらお願いします。

宮脇「これから始められる方は、何も難しく考える必要はないと思うんですね。実践編の対談でもお話ししましたが、板書1つとってみても、私たち教師は白いチョークと色付きのチョークを使い分けている。どうして使い分けているのか、それを子どもたちに考えさせるだけで、メディつきの入り口に立ったと言えるんじゃないかと」

影山「メディつきは、『メディアの特性と適切なメディアの選択の仕方について学ぶこと』『メディアが生活に与える影響について学ぶこと』『メディアが取り巻く社会での安全な行動の仕方について学ぶこと』の3本柱だと堀田先生はおっしゃっていますよね。チョークのお話は、まさしく『メディアの特性を学ぶこと』に直結します。色を違えて書き、伝えることにどんな意味があるのか。ただやみくもに色を変えて書いても、何も伝わらないわけですから」

初心者にやさしく
実践者の数だけ応用可能

影山知美先生

──「メディつき」は、初心者にはやさしく、上級者には応用の利く理念と伺っていますが、最初は難しく考えず、 とにかく始めてみることが大事、ということですね?

宮脇「そうです。例えば『おかしいよね』という言葉にしても、『面白い・笑いたくなる』という意味なのか、『変だ・奇妙だ』という意味なのか、文字だけでは判断できないですよね。実際に面と向かって話しているときなら、口調などで判断できるでしょうけれど」

影山「文字だけを提示して、どちらの意味にとらえるか子どもたちに判断させることで、子どもたちは「文字だけでは伝わらない」ことに気づきます。そこから、メールやインターネットの掲示板で、行き違いが起こることもあるよねとつなげていけば、もう立派にメディつきですよね」

宮脇「そこから、じゃあどうすれば、どんな言葉を使えば、文字だけでも相手に自分の気持ちを伝えられるのかを考えさせる。そのほか、実際に文章を書かせて、自分の気持ちが相手に十分に伝わっているか、2人1組で意見交換するといった授業にしてもいい」

影山 「掲示板などを活用した交流学習につなげるのもいいですよね。そうやってどんどん応用できるところが、メディつきの魅力なのです」