メディアとのつきあい方学習実践事例レポート
デジタルカメラとダイレクトプリンタを活用した
「体験!写し方が変われば○○○も変わる」
〜同じ被写体でも写し方によって違った情報が伝わることを学ぶ〜
岡山県・笠岡市立中央小学校
写真とは「真実を写すもの」。大人でも思い込みがちなその認識は「真実」なのか。アングルやフレームを変えていくと、写真から伝わるものがどう変わっていくのかを体験することで、メディアには制作者の意図が含まれていることを理解するという、ユニークな授業を取材&お手伝いさせていただいた。
「メディアとのつきあい方学習」は「人との接し方」から
4年B組の高橋伸明先生は、校内でも情報教育に積極的に取り組んでいる教員の1人。今回の授業では、メディアとのつきあい方学習の一環として、グループ単位でのデジタルカメラ撮影と、それを使った発表活動を通じて、同じものを写した写真でも、写し方の工夫で、違った情報を伝えることができることを理解させるのが目的だ。
この学級では、毎日の朝の会で、デジカメスピーチという取り組みを継続して行っている。これは、当番制の日直が自分の撮ったデジカメ写真を見せながら、簡単なスピーチをするというもの。そうした積み重ねの上に、今日は新しい体験をしてみようという趣向だ。
授業の冒頭、これからの3校時に渡って取り組む授業の流れが説明された。聞き入る子どもたち。最初のステップは、グループでみんなに紹介したい先生を1人決め、その先生に許可をいただいて撮影し、印刷。スピーチ原稿を作って発表するというものだ。授業中のことだけに、すでに各先生方には高橋先生から協力をお願いしてあり、紹介のテーマ決めまでの準備は終わっている。
早速撮影に向かおうとする子どもたちを制して、先生が口にしたのはこんなアドバイスだった。
「写真を撮らせてもらう先生のところに行ったとき、みんなはどうするかな」
「先生にちゃんとお願いします」と子どもたち。
「どんなふうにお願いするかな?」
「授業に使う写真を撮るので、協力してください、とお願いします」
「そうだね。そういうふうにキチンとお願いしてから写真を撮ってきてください」
メディアの作り手、受け手を体験しようというこの授業は、人との接し方への指導からスタートした。
「自分ならどう表現するか」 情報を批判的に分析する
元気よく校内へ散っていく子どもたち。校内の各所から元気な声が響く。
ほどなくして各グループが教室に戻ってきた。早速、手にしたデジカメの液晶画面をのぞき込みながらの写真選びだ。う〜ん、どれが紹介のテーマに合っているかなぁ……。
PC不要のダイレクトプリンターを使って、子どもたちは選んだ写真をプリントアウトしていく。スピーチ担当の子どもは、原稿のシートに目を通しているようだ。
全グループの印刷が終わり、早速スピーチが始まった。黒板に並んだ写真には、先生が各グループの紹介テーマを書き添えていく。
一方、プロジェクターにはデジカメが直接接続され、紹介中の写真をより大きく投影している。堂々としたスピーチは、毎朝のデジカメスピーチ活動のたまものに違いない。
さらに感心させられたのは、スピーチに対して、他のグループから積極的にコメントが寄せられたことだ。
「そのテーマなら、私ならこういう写真を撮りますが、どう思いますか?」
「今のスピーチは、声がハッキリしていて、よかったと思います」
建設的な提案や、よいところをほめる意見。どれも人の発言を真剣に聞く姿勢から出てくるものだ。