IT活用講座

プロに聞く 調べ学習のヒント

第1回 プロの雑誌編集者が語る 企画立案の極意
日経BP社 『日経パソコン』編集部

発想を広げる有効な方法と アイデアがまとまってから

企画を周りの人に相談

根本さんが次に話してくれたのは、企画のタイトルのこと。
  「企画を考えるときに、まずタイトルやキーワードを考えてみるのもいいですよ」

 

すると、雑誌のタイトルも企画立案段階で決めているのだろうか?
   「最終決定はもっとあとの段階ですが、企画段階で思い浮かべてみる、ということです。タイトルを考えてみることで、発想はどんどん広がり、相手になにを伝えたいかも自分の中で明確になってくるんです」と、そのメリットを教えてくれた。

例えば、やりたいことがいっぱいありすぎるとか、意見が出すぎてまとまらないときなどに、発表のタイトルから考えてみるのは効果的な方法だ。

アイデアがある程度まとまったら、まわりの人の意見を聞くことも重要と、強調するのは倉田さん。
「思いついたことを、ほかの人とディスカッションして意見を求め、よりいい形に持っていくんです」

ほかの人の違った視点や考え方を吸収し、もう一度自分で企画を練り直していけば、企画は、さらにいいものへと成長していく。学校でグループ作業をする場合も、いくら自分は好きなことでも、みんなの興味は違うところにあることも多い。人の意見に耳を傾ける、倉田さんの柔軟な姿勢は大いに参考になる。

企画会議の説得材料は ある程度の具体的実現性

倉田さんは「編集会議の人数くらいを説得できなければ、何万人の読者を納得させることはできない」と、入社当時よく言われたという。

では、企画会議(グループの話し合い)でみんなを納得させる極意はあるのだろうか?。

「ほかの人に納得してもらうためには、ある程度の具体性も必要だと思います。自作パソコンの特集の場合は、どこそこのパソコンショップに取材に行ってとか、こんな写真を使って組み立て方を説明してとか」 と言いながら、倉田さんは、企画を練る過程で使った、自分で撮影したパソコンのパーツの写真を何枚か見せてくれた。

確かに、会議で話を聞いている方も、実際の作業でなにをすればいいのかがイメージできると「あぁ、それならいいかも」と、納得もしやすい。

突拍子もない発想もときには必要だが、企画の具体的な実現性をグループ内のみんなに説明するのが、理解してもらうことにつながっていく。さらに、具体的に考えていれば、次の素材集めへスムーズに移れるというメリットもある。

企画立案の五箇条

一、好きなことが一番!

一、身近な当たり前のことを「なぜ?」と考えてみよう

一、タイトルを思い浮かべてみよう

一、まわりの人の意見を聞いてみよう

一、実際に作業をどう進めるかをイメージしておこう

ほかにも「誰が読むのかを考える」「調べものは、人に自分の言葉で説明できるまで調べる」など、企画立案の極意はいくつもあがった。ここで紹介したのは、特にその中で、学校の授業に役立つ話を厳選したものだ。右に、五箇条としてまとめたので、生徒の“魅力あるプレゼンテーション実現”に利用してみてはいかがだろう。

日経BP社 『日経パソコン』
“パソコンとインターネットを仕事に活かす総合情報誌”。書店販売ではなく、申込をして直接届けてもらう直販のスタイル(24冊/1年、1万2400円)。詳細や購読の申し込みは、ホームページで。

『日経パソコン』ホームページ:http://npc.nikkeibp.co.jp/

根本勝さん根本勝さん

『日経パソコン』副編集長。「自作パソコン徹底ガイド」では、全体を統括する責任者である編集デスクを担当。編集歴16年。モットーは、“編集の仕事は体力が勝負”。


倉田雅弘さん 倉田雅弘さん

『日経パソコン』編集記者。「自作パソコン徹底ガイド」の企画立案・取材・執筆を担当。自らも自作パソコンを操る。編集歴10年。モットーは、“好きなことを粘り強く”。

取材・文/佐々木隆 撮影/渡部秀一
※本文中の情報は、すべて取材時のものです。