プロに聞く 調べ学習のヒント
第1回 プロの雑誌編集者が語る 企画立案の極意
日経BP社 『日経パソコン』編集部
『総合的な学習』の授業などで、自分たちで「テーマを決めて」「調べて」「まとめて」「発表する」という作業を行う機会が多くなってきた。しかし、どんなことに気を付けて取り組めばいいのかよく分からない、ということも多いのではないだろうか。
そこで、本作りのプロに“なにかを作りあげる”ときの取り組み方などを聞いてみることにした。普段から「企画を考え」「取材して」「記事を作り」「本にする」という作業をしているプロの人たちの話は、学校のプレゼンテーションにきっと役立つはずだ。
第1回は、雑誌の特集でなにを扱うかが決定するまでの企画立案の話。(株)日経BP社『日経パソコン』編集部におじゃました。
雑誌の特集作りの流れは プレゼンテーションそのままだ!
今回参考にするのは、パソコンユーザー向けの雑誌『日経パソコン』2002年3月18日号の特集「自作パソコン徹底ガイド」。パソコンのパーツや組み立て方をていねいに解説した“パソコンを自分で作ろう”という内容だ。
これに直接関わった編集部の根本さん・倉田さんに、まずは、雑誌の特集ができるまでの作業の流れを聞いてみた。
(1)企画会議で内容決定
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(2)取材・撮影などで素材集め
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(3)記事や写真を整理して誌面作り
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(4)印刷されたもので何度か
点検・確認
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(5)実際に印刷して本となる
作業の流れを大まかにまとめると、右の5段階。 (1)〜(5)は、まさに、学校で生徒たちが取り組んでいる作業の流れそのままだ。特に(1)の企画の決定は、そのあとの作業をどう進めるかが決まってくる、もっとも重要な部分。 「企画の良し悪しで、特集のおもしろさや雑誌のクオリティまでもが変わってしまうんです」 と2人のプロの意見は一致した。
好きだから作業が進む 「?」からアイデアが生まれる
では、その企画を立案するときの極意とは?
自作パソコン特集の企画立案者である倉田さんが、「個人的に自作パソコンが好きなんです」と笑いながら話し始める。
「記事は、書く人間がおもしろいと思ってやらないとダメなんです。自分が好きじゃないと、そのおもしろさが伝わらない」
企画を考えるとき、その内容が“好き”なことが大前提と倉田さんは言い切った。
好きなことなら、少々面倒な下調べや取材も楽しみながらできるが、好きでないことを調べたりするのは、だんだん苦痛になってくる。学校でも、自分が好きなテーマなら、子どもたちは生き生きと作業を進めていくはずだ。
さらに倉田さんが、「アンテナを広く持っておくということ。新聞やテレビなどの情報を常にチェックし、柔軟に取り入れるようにしています」と、第二の極意をあげてくれた。
「身近なものや当たり前と思っているものに、まず疑問を持ってみる、というのはアイデアを出すうえで重要なことですね」と根本さんも付け加える。
いろいろなものに興味を持ち「なぜ?」と考えてみることから、違った発想が出てくる。企画を思いつくための大切な心構えのひとつだ。